Me & My Degu

デグーとの暮らし、日々のあれこれ

TRUCKで天然パーマな夜

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むかしむかしその昔「ライトミュージック」という音楽雑誌があった。山下洋輔氏が「風雲ジャズ帖」を連載しており、毎号楽しみに読んでいた中学生のわたくし、ある号の特集に心を奪われた。特集「スティールドラムを作ろう!」写真の工程図とともに手順が詳しく載っていたのだ。スティールドラム(今はスティールパンって言うのね)の音は知っていた。そしてどうやって作るのかもおぼろげには知っていたが、具体的に説明しているものは初めて見たのだった。

  • ドラム缶を入手
  • 底から30cmほどのところで切断
  • たき火で真っ赤にいこす
  • 底を上に向けて音階を出す部分に丸くチョークで印を入れる
  • 金槌で叩いて丸みをつけていく
  • 音を聞きながら打ち出して微調整

なんか、できそう。家の前の大きな公園で焼けるぞ。ドラム缶さえあればなんとかなりそう。と思ってしまう辺りがサスガ中学生。もう頭の中はスティールドラムを作ることでいっぱいになるわけだが、んなもの、そんじょそこらにドラム缶が落ちてる訳でなし、んで落ちてても女子中学生が一人で持って帰れるワケないし、はさみで切るわけにもいかないんであって、今考えるとなんて無謀なことを夢見ていたのだとあきれるばかり。結局その夢は諦めることになるのだけれど、直接の原因はそうした材料の調達ではなしに、解説ページのなかの音階を作る項で、ドラム缶の底に丸く円が書かれ「G」だの「E」だのと指示してあったため。え?「G」って?「E」って?わかんないよー。これが「ド」とか「ソ」とか書いてあったなら、ガソリンスタンドや工場でドラム缶を物欲しげにじーっと見詰める中学校生活が続いていたかも知れない。
このように以前からスティールパンの音色には心惹かれていたのだけれど、実際に生では聴いたことがなかった。今回、TRUCKという家具屋さんで有山じゅんじさんがスティールパンの名手山村誠一さんとLIVEをなさるということで、これはいかねばと思った次第。またTRUCKは、山崎まさよしファンの新しい聖地でもある。彼はここの家具を愛用しているのだそうだ。大阪でLIVEがある時はファンが足をのばして訪れるらしい。へぇー。有山師匠がTRUCKでLIVEをされるのは今回で4回目だそうだ。
今日のLIVE、予約の受付は無し、いっぱいになったら入れない可能性もあるのでお早めにお越し下さいという事前の案内を聞いていたので、なんだか焦って妙に早く着いてしまった。開場まで1時間以上ある。まだリハーサル中。通りの向こうのバス停からのぞいて見ていたら(不審者)、あ、有山さんフルート吹いてはるー。ひゃー、かっこいいー!きゃーきゃー!
時間になり中に入り席を確保。始まるまでソファでTRUCKのカタログ?本?を拝見する。んー、このソファ、座るところの奥行きがありすぎて私では背もたれに背中が付かない。背もたれに体を預けようとしたら、電車でぐっと奥に座らされた2歳児のようにびよーんとふくらはぎから先が突き出してしまうことだろう。うむむむ。スタイリッシュな生活には向かないのかも。7時半からのはずがなかなか始まらず8時前になってやっとお二人登場、まず山村さんのソロから。山村さんも有山さんに負けず劣らずなかなかな天然パーマ。スティールパンでクラシックをアレンジして数曲、スティールパンの音って輪郭はほわほわしているが芯の音はかなり強く響くのね。華麗なばち捌きで緩急自在な演奏が続く。おぉ、天上の音楽ってこんな感じかも。前の音の余韻の上に次の音が重なって夢の中のようだな。
続いて有山さん。「フルート吹こうかな」とギターを抱えたままぶおー、しばらくギターで歌ってからまた後ろに置いていたフルートをやおら掴んでぶおーぶおー。可笑しー!「この空間はギターよりもフルートが合うな〜」いやー、フルート吹いてはったら歌歌えないしギター弾けないし!それから、有山さんと山村さんお二人でセッション。ウォッシュボード装着した山村さんとの掛け合いが楽しい!セッションの途中でTRUCKの看板犬、はてなで言ったらしなもん的存在のバディ(http://truck-furniture.co.jp/top.html彼?)がするりと登場、しっぽをぶんぶん振りながら、お客さんを一人一人くまなく歓迎していく。わしわし撫でさせてもらった。山村さんは美味しい香りがしてはったのだろうか、熱心にバディ君嗅いでたなー。山崎氏のLIVEはエレキギター率が高かったが、今日は師匠のアコースティックギターの音色を堪能させてもらった。それにしても!やっぱりスティールパンは作るものじゃなくて、聴くものですね〜