Me & My Degu

デグーとの暮らし、日々のあれこれ

リラックス!

コーラたん可愛いー

水曜に仕事が休みであるのは久しぶり、そうかレディスデイだな、ということで「ラブソングができるまで」を観た。「ホリディ」とどちらにしようか迷ったが、顔面を帯状疱疹にやられ眼球にヘルペス菌が入った影響か、どうにも長時間映画を観るのは辛いので、上映時間が短い「ラブソング」に。
ついついラブコメのような「観て一時シアワセな気分になるもの」を選んでしまうので、なんだかヒュー・グラントには縁がある。そういう気分の映画にこの人はよく合うのよなー。この映画も、予定調和といえば予定調和、でもそれがいいのよ。あらすじを書くと「ネタバレ」になるのかな?でも、ネタバレもなにも、そのまんまのお話なんだから、ま、いいか。
「軽佻浮薄な流行モノの音楽」が主役の映画。アレックスが所属していた80年代のバンド「POP!」のなんとも懐かしくも可笑しいPV!そうして今若い子達に人気の歌姫コーラの「過剰エロ&東洋趣味」のうすっぺらさ。うまいこと作ってあるなー。
軽佻浮薄POPSを生み出し、それにしがみついて生活しているアレックスは、ビートルズやディランがディナーとすれば僕はデザート、と自分や自分の音楽を軽んじ、半ば諦めて生きているが、そんな彼を、曲を聴いただけで元気になれたり爽快な気分になれたりできるって素晴らしいことなんだから!と励ますソフィーが素敵だ。軽佻浮薄万歳、楽しくて何が悪い。たまの休日に見る映画は、深刻でゲイジュツ的な作品よりも、やっぱり楽しくてかわいいラブコメがいいなと思う私は、このソフィーの言葉に深くうなずいてしまったな。
そういえば山崎まさよし氏主演映画「月とキャベツ」もラブソングができるまでの映画だなー。圧倒的なパワーの「One more time,one more chance」に比べると、出来た「愛に戻る道」という曲は、とてもキャッチーだけど「人生を変える曲」としてはちょっと軽い。ん、待てよ、そうか、この映画の場合「オファーがあってクライアントの意向に沿って曲を作る」という、「職業音楽家であること」が主題だものな。軽くて口当たりの良いものになるのは必然か。で、そこにドコまで作者の意志やエゴを盛り込むかで、作曲者と作詞者は意見が分かれる。また、ドコまで聴き手の期待に沿うかで、作家チームとパフォーマーの間に齟齬が生まれる。その軋轢を解決するのは、現実にはパワーバランスだったり資本力だったりするのだろうが、ラブコメ映画においては「愛情」こそが唯一の解決手段なのだ。愛情万歳。
「ラブソングができるまで」予告編

いろいろとnetで感想を拝見していて、特に感銘を受けたのがこちら「コスクマの!キューティー映画でウンチクを語る」さんの感想。ネタバレを避けて「続きを読む」記法で書いておられるので気が引けてしまうのだけれど、書かれる文章が理知的で魅力的なのでご無礼を承知で引用。

曲が完成したことで、2人はそれぞれ未来に期待し今を受け入れます。
ドリューはヒューの過去に自信を与え、ヒューはドリューに過去への決別の手伝いをします。

http://cutiemovie.blog64.fc2.com/blog-entry-84.html

コスクマさんの感想、特にクライマックスであるコーラのLIVEの描写についての「見所」の素晴らしいこと!あの高揚感はこうした手法でもたらされたのか、ととにかく納得。
曲は中盤でできてしまう。こういう趣向の映画って曲ができることが「ゴール」だと思っていたが、そういう「作者の心の問題を解決しながらすばらしい曲が出来上がっていく」過程はこの映画ではゴールではなかった。その先、「職業音楽家」として自分はどうありたいのかということが、主人公二人、そうして歌姫コーラの前に立ちはだかる。恋愛の成就を阻むものは、人間でも環境でもなく「創作者・表現者」としてのあり方なのだ。そこが新しいなぁと思った。そうそう、まぁ言うたら「月とキャベツ」は、花火が職業音楽家として再生しようとするまでの映画だものなー。