Me & My Degu

デグーとの暮らし、日々のあれこれ

ナイトメア

沈思黙考

トイレから出てきたあとそのまま、食卓と台所のカウンターのまわりを早足でぐるっと回ること2周目で、おかしいと思った。どうしたの、と声をかけても無表情で大またで歩き回る下の息子。髄液を腰の辺りから採取する検査を3時間前にやったばかり、なるべく安静にしているように、と注意されての帰宅だった。3周目で抱き止め、布団に連れて行く。それまでゆっくりとしか動けなかったのに、落ち着き無く布団の上で立ったり座ったりする。「あぁ!こんなになるつもり無かったのに!」「ダメや、あぁ!」「ちょちょちょっと、いやぁ、ちょっと!」意味不明のことを口走りながら。目の前に顔があっても、私の顔は見えていないようだ。まっすぐ大きく見開いた目は遠くて深いものを覗き込んでいる。「ほら、ここに座ろう、お茶でも飲んでごらん」と半ばむりやり座らせてペットボトルを握らせる。飲んだ。「もうすこし、飲んでみ」飲んだ。パジャマが汗でぐっしょり濡れている。上を脱がせて新しいパジャマを着せる。下も脱がそうとするが正座しているのでままならない。自分が何をされてるかもわかっていないようだ。「自分で着替えるか。汗かいてるから」パジャマの下を押し付けると、しばらく凝視したのち、のろのろと着替える。「寝てみぃな」と言うと、ころんと横になりすぐに寝入ってしまった。
次の日、「昨日のこと覚えている?」と聞いてみた。全然覚えていない、とのこと。「でもきっと、また夢みたんと違うかな。いやな夢。一番怖い夢。形は無いけど『絶望』や『虚無』のようなものがじわっと押し寄せてくる。ぎゅうぎゅうに詰まってくるんですよ。」それから逃げてたんやね。13歳の感じる絶望や虚無ってどんなだろう。これから先が長い分、それらもでっかいのかもしれないな。