Me & My Degu

デグーとの暮らし、日々のあれこれ

美味しい話

私が小さい頃、母の実家に遊びに行くのが好きだった。あ、前犬に噛まれた、あのイナカのこと。裏の小屋ではヤギを飼っていた。目が横線。おやつにヤギのお乳を使ったアイスクリームを、冷凍庫を使ってアルミのお弁当箱で叔母が作ってくれた。しょりしょりしたシャーベットのような食感の黄色いアイスクリームは、お砂糖の甘みが強かったけれど、子供にとってはそれはなにより嬉しいことだった。そして夜にはヤギのお乳はホワイトシチューに入れられた。さらりとしたチャウダーのようなもの、とろみは溶けたジャガイモから。そういったクリームシチューのようなものは家では作らなかったので、珍しくて美味しくてたくさんお代わりをした。グリーンピースがたくさん入っていた。叔父は若い頃アメリカに留学していたので、どこか食生活もアメリカナイズされており、朝はたいがい納豆と佃煮だったが、時折一人でオートミールをふつふつと炊いて食べていることもあった。そういう時は、これまた納屋の横の鳥小屋でにぎやかにしていた鶏たちの卵でもって、目玉焼きを作って一緒に食べていた。白身の端っこが茶色くぱりぱりした目玉焼き。ハムを焼くこともあったな。
子供の頃はそういった普段食べないものが嬉しかったが、最近は畑でとれたばかりの野菜をシンプルに料理したものが楽しみ。夏はやっぱり焼きナス。コンロでじっくり焼いて皮を剥くと、少し焦げており内側にも淡くこげが残る、そんなナスをぽんぽんと切って鰹節をぱっとかけて、醤油をくるり。ご飯はいまだにおくどさんで薪を使って炊き上げるので、これまたつやつやと美味しい。あとは茹で上がったスナップエンドウのマヨネーズかけ、そして味噌汁はわかめとモロヘイヤの赤だしで、味噌汁がとろんとしているのはモロヘイヤのねばねばのせい。
そういえば、叔母さんが従兄の子供らに作ってやってたインスタントラーメンが美味しそうだった。普通の「サッポロ一番」のようなのだったのだが、湯が沸いて麺を放り込みしばらく煮たあと、ざぁぁと湯を捨ててしまうのだ。そしてポットからお湯を麺だけになった鍋に適当に注ぎ、そこにスープの粉末を投入、くつくつとまたしばらく煮ていた。なんともインスタントラーメンの会社の人が聞いたら卒倒しそうなつくり方なのだが、これが美味しそうなのだった。「おばあちゃんのラーメン旨い!」と子供らも言っていた。私もそのものすごく適当な作り方で出来上がったインスタントラーメンが食べたい!でも一応私は「お客さん」、裏の料理屋さんからとってくれた鰻なぞを食べたところだったので、遠慮したのだが、今でも心残り。いつかあのイイカゲンな作り方でラーメン作ってみよう。たぶん美味しくないのができあがるんだろうな。