Me & My Degu

デグーとの暮らし、日々のあれこれ

遠い歌声

心拍数(近畿編)山崎まさよしの「心拍数」は、後にLIVEテイクが地方ごとに計10枚シングルリリースされたが、私は1stアルバムに入っているものが一番好き。すみけんさんもおっしゃっているようにイントロ最初のコーラスが唐突ではあるが、やはり曲の内容と20代前半の山崎まさよしの投げつけるような歌声がぴったり合っていて、後が無い捨て身の愛情が、圧倒的な切なさでもって胸に迫ってくる。歌うことに慣れ、相手を脅したり賺したりするようなこぶしを伴ったLIVEシングル群からは、「なりふりかまわぬ相手への思い」はあまり感じられなくなってしまった。もちろん30代の山崎まさよしが歌う「心拍数」も、それはそれでぐっとくる。でもあの若い山崎まさよしが歌う「心拍数」を聴くときに感じる「胸を切るような哀しさ」は特別の輝きだ。
有山淳司「ありのままじゅんじ」を聴いた。有山氏最初のソロ作。24歳の時のものだからちょうど1stアルバムで「心拍数」を歌う山崎まさよしと同じくらいの年。声が若い。高くて線が細くて融通の利かない歌声。今の、50代前半の有山じゅんじの歌声とあまりにも違っていて、言われなければ私はわからなかったかもしれない。今の歌声は低くて自由自在、排気量の多いエンジンがゆっくりうなるような響き。「ディディ ワァ ディディ」「今夜はカキ色の月が」はLIVEで知った曲だが、このアルバムの若くて硬い歌声で聴くより、私は今の歌声で聴くほうが好き。余裕が曲の風味をいっそう増すような気がする。でも「Baby お前が好きだよ」は、「心拍数」と同じように、この24歳の硬質な歌声であるからこそ、「でもそんなこと どうでもいいよ 早く家に帰ろう」というところで、ぎゅっと胸を掴れてしまう。
性急で一本気な愛情をなりふりかまわず歌い上げることができるのは、若い人の特権なのかもしれない。